子育てに役立つ漫画「よつばと」。こんなとーちゃんに私はなりたい
いつでも今日が、いちばん楽しい日
5歳の女の子「小岩井よつば」と、とーちゃん(父)の「葉介」とのゆったりとした日常を描く漫画「よつばと」の単行本の帯には、毎巻このような言葉が綴られている。
どこか懐かしく、大人になるにつれて忘れてしまいそうな大切なことを思い出させてくれる、胸に残る言葉だ。
よつばとは日常的なエピソードの中で、大人になった私たちが子育てをするうえで大切な「小さな幸せ」に気づかせてくれるのである。
そんなよつばとの魅力のひとつである「とーちゃんの子育ての心得」についてご紹介したい。
悩むことも多い育児の一助となれば幸いだ。
漫画「よつばと」とは?
あずまきよひこ作の漫画よつばとは、全世界累計発行部数1670万部(2018年4月時点)の人気コミックだ。
よつばを中心に、とーちゃんや隣人の綾瀬家との何気ない日常の中にある「感動」が描かれている。
子どもにとっての日常は初めての連続で、
夕飯の食材を買いに行ったり、
お隣の綾瀬家でアイスを食べたり、
公園でバドミントンをしたり、
そんなどこにでもありそうなエピソードの中にたくさんの「気づき」があり、それをよつばという子どものフィルターを通すと、驚くほど輝いて見えるのだ。
子育て中の方にこそ、ぜひ読んでほしい漫画である。
とーちゃんに学ぶ子育ての心得
自分の子育てとなるとどうしても主観的になってしまうが、よつばとを読んでいると、子育てに対する考え方や、子どもが何を思っているのかを客観的に知ることができる。
実は、とーちゃんはよつばの本当の父親ではない。
「海外でよつばをひろい、いろいろとあって育てることになった」ということだけ分かっているが、その真相はまだ明かされてはいない。
しかし血は繋がっていなくとも、彼のよつばに対する愛は本物である。
特徴的なのが、よつばとの距離が非常に近いということだ。
とーちゃんの子育てを見ていると、
「こんな風に子どもと接することができたら」
「子どもにとってこんな父親でありたい」
と思ってしまうのだ。
とにかく見守る
とーちゃんは基本的は、よつばが何をしていても見守ることにしている。
よつばのやりたいことを妨げるようなことはせず、子どもの自由な行動を尊重しているのだ。
よつばが元気いっぱいのびのびしていたり、感情豊かなのにも頷ける。
しかし決して好き放題させているわけではない。
人に迷惑をかけるようなことをしたり、命に関わるような危険なことをしそうなときは、もちろん叱る。
ときには、やってはいけないことをあえて失敗体験をさせることで、よつば自身に自覚させることもある。
例えば、こんなエピソードがある。
お祭りで迷子にならないように手を繋いでいることを約束したのに、ついお店が気になってしまったよつばは一人でトコトコと行ってしまう。
そこでとーちゃんはよつばを追いかけることはせず、物陰に隠れてよつばに「迷子」という経験をさせ、人混みで逸れてしまうことの怖さを教えたのだ。
「見守る」ことは簡単なようで意外と難しい。
どうしても子どものことが心配になり、ついつい声を出してしまう。
そこはぐっと我慢して、良いことも悪いことも、子ども自身に経験をさせることが大切なのだ。
一緒になって全力で楽しむ
よつばと遊ぶとき、とーちゃんはとにかく全力だ。
よつばに負けないくらいはしゃぎ、思いっきり走ったり跳んだり笑ったり、同じ目線で遊びを楽しんでいる。
子どもは親のことを本当によく見ている。
私が子どもと一緒に遊んでいるとき、他ごとを考えていたりして遊びに本気ではないと、そのことに子どもが気づいているように思うことがある。
親が思いっきり楽しむことで、子どもはもっともっと遊びが楽しくなるのだ。
子どもにとって親は一番近くて信頼できる存在である。
だからこそ、子どもから「遊ぼう!」と言われたら、できる限り優先して応えてあげたいし、一緒になって思いっきり楽しめるような親でありたい。
子どもには意地でも負けない
もうひとつ、とーちゃんが遊びで徹底していることは、子どもとの勝負事では意地でも負けないことである。よつばのためにあえて負けてあげることもしない。
よつばは、とーちゃんのことを最強だと思っている。
遊びでも、かけっこでも、とーちゃんは絶対的に強いからだ。
実は勝つために結構必死だったりもする。
子どもと同じように思いっきり遊ぶけれど、親子は友達ではないし、上下関係はしっかりと保つことは大切である。
だからこそよつばは「とーちゃんのすることや言うことは正しい」と素直に信じており、そこには強い信頼関係が築かれているのだ。
子どものために。
私が子育てで嬉しかったのは、子どもが満面の笑みで私のもとへ歩み寄ってくれたことである。
当たり前のことと思われるかもしれないが、あまり人と深く関わってこなかった私にとって、何の迷いもなく自分を頼ってくれる存在はとても嬉しかった。
そんな我が子のためにも、とーちゃんのように、子どもにとって自慢できる父親になりたいと心の底から思う。
まだよつばとを読んだことがないという方は、ぜひとも手にとって読んでみてほしい。
きっとあなたの心に「小さな幸せ」をあたえてくれるはずだ。